第28回精神保健福祉士国家試験【合格基準62点】受験した私が感じた”難しさの正体”と合格率78.2%の読み解き方


「手応えがなかった」「これは落ちた…」——試験直後、そう感じた人も多かったはずです。私もその一人でした。それでも合格率は78.2%。この記事では、受験した当事者の目線から、数字の裏にある本当のことを話します。

たす

今回の試験本当に難しかった…


目次

まず、私自身の話をさせてください

今回の第28回精神保健福祉士国家試験、私も受験しました。

試験を終えた瞬間の感想は正直「……難しかった」の一言。専門科目は、解ける問題はいくつかあるものの、知識の正確さを問う問題が多く、「なんとなくわかる」では太刀打ちできない場面がいくつもありました。

そして、共通科目は聞いたことが無いような人物やキーワードはたくさん出て、解きながらも絶望的な気持ちで解いていました。正直、落ちた…って思っていました。

たす

だから合格発表のページを開くときは、少し手が震えました…。

そういう体験をした上で、この記事を書いています。データを並べるだけじゃなく、「受験した人間の感覚」と「公式データ」を重ね合わせながら、今回の試験を読み解いていきます。


第28回 基本データ

項目内容
試験日令和8年1月31日(土)・2月1日(日)
合格発表日令和8年3月3日(火)14時
受験者数7,107人
合格者数5,558人
合格率78.2%
合格基準点62点以上(132点満点)

合格基準点62点は、132点満点の約47%。つまり半分以下の正答率でも受かる試験だったことになります。これは「難易度補正が大きく働いた」ことを意味しています。


「難しかった」という感覚はデータで証明されていた

試験後のSNSには「難しすぎた」「手応えゼロ」という声が溢れていました。私も同じ感覚を持っていたので、その反応はよくわかります。

合格点62点(47%正答率)は、その感覚を数字で裏付けています。

精神保健福祉士の合格基準は毎年「総得点の60%程度」を目安にしつつ、難易度で補正されます。通常年は79〜80点前後が合格ラインになることが多い中、今回は62点まで下がりました。

正答率47%でいい——これは例年と比べてもかなり低い水準です。

試験中に「わからない」と感じた問題の多さは、決して気のせいでも実力不足でもなく、試験そのものが難しかったということです。自分を責めていた方に、これははっきり伝えたい。


78.2%という数字の”正体”

合格率78.2%は、過去5年で見ても最高水準です。

過去5年の推移

受験者数合格者数合格率
第24回6,502人4,267人65.6%
第25回7,024人4,996人71.1%
第26回6,978人4,911人70.4%
第27回6,642人4,694人70.7%
第28回7,107人5,558人78.2%

第24回の65.6%から7ポイント以上の上昇。この「合格しやすくなっている流れ」は、精神保健福祉士の需要増加と人材不足が背景にあると考えられます。

ただし——ここが重要です——この78.2%という数字は、ルートによって全く意味が違います。


ルート別に見ると「格差」が見えてくる

新卒 vs 既卒の合格率比較

ルート新卒合格率既卒合格率
保健福祉系大学等85.4%43.2%
保健福祉系短大等+実務経験47.0%
短期養成施設等94.4%72.7%
一般養成施設等81.4%33.9%

短期養成施設ルートの新卒はなんと94.4%。ほぼ受ければ受かる水準です。これは専門性を高めた集中的なカリキュラムと、試験対策が一体化していることが大きい。

一方、一般養成施設の既卒者は33.9%。同じ試験、同じ合格点なのに、これほどの差が生まれる。

この数字を見ると、「自分の勉強が足りなかっただけ」とは言えない構造的な問題があることがわかります。仕事をしながら、生活しながら、過去の知識を維持し続けることの難しさが、33.9%という数字に凝縮されています。


精神保健福祉士試験ならではの難しさ——受験者として感じたこと

社会福祉士試験と共通科目はほぼ同じですが、専門科目の性質がまったく違います。

精神保健福祉士の専門科目で求められるのは、法律・制度・医療・リハビリテーション・相談援助技術を横断的に繋げて理解する力です。

たとえば「精神医学と精神医療」の問題は、病名や症状を暗記するだけでは対応できず、「この症状の人にどのような支援が必要か」という実践的な思考が問われます。

試験中に感じた手応えのなさの一因は、ここにあったと思います。知識は持っていても、問い方が実践的すぎて「これはどっちだろう」と迷わされる場面が多かった。


年齢別データが示す「この試験を受ける人たち」

年齢区分人数割合前回比
~30歳1,860人33.5%↓(前回38.1%)
31〜40歳910人16.4%
41〜50歳1,307人23.5%
51〜60歳1,152人20.7%↑(前回17.7%)
61歳〜329人5.9%

社会福祉士試験と比べて、精神保健福祉士は中高年層の合格者が多いという特徴があります。

特に注目すべきは51〜60歳の割合が前回17.7%→今回20.7%と大きく増えていること。

精神医療・福祉の現場では、長年働いてきた方がキャリアアップのために資格取得を目指すケースが多い。その方々が確実に増えているということです。50代で国家資格に挑む姿勢は、キャリアの可能性がどの年齢にも開かれていることを示しています。


養成施設ルートが合格者の7割を占める現実

合格者の受験資格別内訳を見ると:

  • 保健福祉系大学等卒業者:1,652人(29.7%
  • 養成施設卒業者:3,906人(70.3%

合格者の7割が養成施設ルートというのは、精神保健福祉士試験の大きな特徴です。

これは「大学で福祉を学んでいなくても、養成施設に通えばしっかり合格できる」ということを意味しています。他職種からのキャリアチェンジや、医療・介護の現場からステップアップを目指す方にとって、精神保健福祉士は十分に現実的な資格です。


不合格だった方へ——33.9%の壁は「実力の壁」じゃない

既卒の一般養成施設ルートで不合格だった方に、特に伝えたいことがあります。

33.9%という合格率は、過酷な条件の中で戦った人たちの数字です。仕事を持ち、家族を持ち、それでも勉強を続けようとした人たちの結果です。

不合格は「あなたが精神保健福祉士に向いていない」証拠では絶対にありません。

3月6日(金)に発送される不合格通知には、総得点・各科目群の得点が記載されています。その通知を捨てずに、次への地図として活用してください。

次回への具体的な戦略

① 0点科目群を作らないことが最優先 9科目群すべてに得点があることが合格条件。苦手科目を「後回し」にするのが最も危険なパターンです。

② 精神医学の基礎知識は「繰り返し」で定着させる 精神医学の用語・疾患・治療は暗記系。短い隙間時間での反復が有効です。

③ 制度系は「改正情報」を追う習慣を 精神保健福祉法をはじめとした法制度は改正が多い。テキストの発行年を必ず確認し、最新情報を補完する習慣をつけましょう。


まとめ:第28回を一言で表すなら

「難しかった。でも、受かるべき人が受かった試験。」

合格基準点62点という大幅な引き下げは、受験生の努力を正当に評価しようとする補正の結果です。合格率78.2%は、試験制度が精神保健福祉士の需要増加に応えようとしている流れの中にあります。

それでも合格できなかった方がいる。その方たちの多くが、極めて不利な条件の中で戦っていた人たちです。

たす

来年また、同じ試験会場に立つ日を目指して、一緒に動き出しましょう。


合格した方、本当におめでとうございます。

不合格だった方、あなたの挑戦はまだ終わっていません。


この記事は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが公表した「第28回精神保健福祉士国家試験の合格基準及び正答」「合格発表について」をもとに、実際に受験した筆者の視点を加えて作成しています。

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